ロボットと未来研究会の運営理念

「ロボットと未来研究会」の運営理念について

 

埼玉大学教育学部 准教授

野村 泰朗


「ロボットと未来研究会」は、埼玉大学 STEM 教育研究センターが推進する未来に向けた新しい教育方法に関する実践研究の場づくりと、そこでの研究成果を地域社会、特に子どもたちに還元するアウトリーチ活動として2002年より活動を続けています。

 ここで、「ロボットと未来研究会」を運営する立場から、重視している3つの理念をご説明いたします。


1.実践研究の場である

「ロボットと未来研究会」を実施する目的は、 STEM 教育に関する教材、カリキュラムの開発、指導法の研究です。今、まだ誰も挑戦したことのない、他に類をみない先進的な教育活動を実践を通して研究的に取り組んでいます。「ロボットと未来研究会」の活動にご参加いただくにあたり、 お子様が、センター研究員、学生、外部研究者の研究にご協力いただく場合がある ことをご理解いただけますようお願い申し上げます。もちろん、お子様の人権には十分に配慮するとともに、研究データの管理等個人情報の取り扱いにつきましても十分注意いたします。


2.教員養成の場である

「ロボットと未来研究会」は将来教員を目指す学生に、 STEM 教育の考え方に基づいた指導のできる指導者としての資質・能力を育成することも目的の一つです。代表の野村を中心に、センタースタッフが指導を行ないながら、コースごとに学生が教材研究をし、カリキュラムを編成し、各回の指導計画を立てます。そしてなにより毎回一緒に活動する子ども研究員のみなさん、保護者のみなさんからの叱咤激励が学生の成長の支えとなっています。おかげさまで、毎年、数名の学生が教員になったり、教育関連企業に就職したりと、教育の最前線で活躍しています。

しかし、保護者のみなさま、子ども研究員として一緒に活動をおこなっていただくお子様には、まだまだ荒削りな学生の対応が行き届かないこともあり、ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、そのような場合はぜひ率直にご意見を頂戴できれば幸いです。みなさまのご意見をお聞きしながら「ロボットと未来研究会」自体、成長を続けていく所存です。


3.主体性を育てることが目標である

「ロボットと未来研究会」での実践研究、そして教員養成、最も重視しているのが、子どもの「主体性」を育て、人工知能時代において個性を生かして生き抜くことができ、自らの意思で幸せを掴み取ることができる(自己実現できる)資質・能力の育成です。その考えを常に研ぎ澄ませながら、主体的な学習・生活態度の育成や、主体的に問題解決に取り組むための見方考え方の新しい教育学、そして具体的な指導法・環境整備について研究と実践を行っています。

「ロボットと未来研究会」は〈学校〉ではありません 。一人一人が、自分のやりたいことについてじっくり考え、実現していくための場所です。私たちは子どもたちのことを「子ども研究員」と呼びます。また同様に指導者のことは先生ではなく「リーダー研究員(リーダー)」と呼びます。研究員は一人一人、自分のテーマを持ってそれぞれの研究に取り組みます。研究員には、 「ロボットと未来研究会」で定める 「研究員の5つの心得」の意味を常に考えながら活動をしてもらいます。

そして、 何よりも大事なのは一人一人が「自分のやりたいこと」を持つことができること ですが、これがなかなか難しいようです。そこで、「ロボットと未来研究会」では子ども(学習者)の自分からやりたいと思う気持ちを最大限に尊重して活動をします。そのため コースごとの、厳密な年齢制限や、受講の仕方について明確なルールを設けておりません (ご参考までに、受講モデルについてはホームページにいくつか例を掲載しております。)。また、その子のやりたいという気持ちにじっくりと時間をかけて向き合います。そのため コースの中での達成目標もまたその達成度も、それぞれ異なる場合があります 。本人と担当リーダー、保護者様とで相談しながら、1人1人その子の主体的な態度を養うための支援策を、検討していきます。

ですので、活動中は原則として 手出し、口出しは避けていただき、お子さまの活動を「待つ」姿勢でお見守りください 。私たちの教育理念や指導方法について、保護者のみなさまと意見交換し、議論し、改善していくための場として、毎月1回の STEM カフェを実施しております。ぜひこちらにもご参加ください。


みなさまの、ご理解とご協力を、よろしくお願いいたします。

 

第38期ロボットと未来研究会

2021年4月の土曜日は,第38期の活動内容について知ることができる体験会を実施しています。こちらをご覧いただき,まずは埼玉大学にお越しいただき体験してみてください!